最高裁判所第二小法廷 昭和25年(オ)291号 判決
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告理由第一点について。
本件のごとき強迫に因る手形行為取消の抗弁は、手形法上いわゆる人的抗弁として、善意の手形所持人には対抗できないものとした原判決は正当であつて、論旨は理由がない。
同第二点について。
原判決は、証拠に基づいて被上告人が本件手形を所持する事実を認定したことは、原判文上明かである。論旨は理由がない。
同第三点について。
上告人が、原審において所論抗弁事実について被上告人の悪意であることを、何ら主張立証するところのなかつたことは記録上、明らかである。原判決に所論のような違法ありとすることはできない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、全裁判官一致の意見により主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 栗山茂 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎)